
再入院から3日目の昼。
夫から電話がありました。
でも、電話口の声は、私の知っているいつもの夫ではありませんでした。
ろれつが回っておらず、
言っていることも、よく分かりません。
「帰るから。ここに居ても意味がない」
「俺が一番偉いから」
「酒、持って来てくれたら、すぐ返す」
何を言っているのか、まったく理解が追いつきませんでした。
そのあとも、何度も何度も電話がかかってきました。
頭では分かっていました。
これは夫の本心ではなく、病気(脳の圧迫)の影響だということ。
脳の中の異物がなくなれば、また必ず元の夫に戻るはずだと。
そう、必死に信じていました。
翌日。朝からまた電話が鳴りました。
「帰る。とにかく火、持って来て。一式」
(タバコのことだと思いました)
それからは、ひたすら暴言でした。
聞いているのが本当につらい。
でも、これは本人じゃない。病気のせい。
そう自分に言い聞かせるしかありませんでした。
その日の昼に病院へ行き、先生と面談しました。
前日から圧迫していた包帯を外し、その日のCTを撮った結果。
脳内にあった異物が、少し外側へ移動していることが分かりました。
そのため、半分抜糸を行い、注射器でその異物を吸い出したとのことでした。
その正体は、血と分泌物が混ざったものでした。
(※これで4度目の手術は回避することができました)
今後は、痙攣を抑える点滴と内服薬で様子を見ること。
ただし、てんかん発作はしばらく起こる可能性が高いため、車の運転は絶対にできないこと。
さらに、タバコは発作を誘発するため絶対に禁止。
もしまた倒れれば、救急搬送になる可能性がある。
だからこそ、
「本来は、しっかり判断できる状態になってから退院させたい」と、説明されました。
ここから退院までの日々は、本当に苦しい時間でした。
何が起きているのか、本人にも、家族にも分からない。
ただ、別人のようになっていく夫を見つめながら、時間だけが過ぎていく。
その時の私は、やり場のない思いを、日記に書き残していました。
***
〈再入院から4日目〉
夕方、電話。「一式(タバコ)持って来い。それだけでいいから頼む」
暴言、また暴言。
「長袖持って来て」
きっと、病院を抜け出して外に出るつもり。〈再入院から5日目〉夫、49歳の誕生日
朝から電話。「とにかく耐えられへん。今日休みやろ? 一式持って来て、一緒に外行ってくれたらいいだけや」
その後も、何度も電話がかかってくる。
「明日退院やから、朝から服持って来て」病院に行き、看護師さんに(誕生日のお祝いにと)イチゴを渡してもらう。
点滴も自分で外そうとするらしい。ご飯も食べない。薬も拒否。
相変わらずの暴言。このままでは、退院が遠のいてしまう。
ちゃんと治療を受けてほしい。ただ祈ることしかできない。〈再入院から6日目〉
朝から電話。「抜糸した。帰れるやろ。お前から先生に言うてくれ」お母さん(義母)と一緒に病院へ。先生からの説明。
脳内の分泌物は外に移動している。明日MRIで最終確認予定。
ただし、まだ、てんかん発作の可能性がある。
この状態で帰ってまた倒れたら、さらに危険になる。***
次回は、
**「感情を爆発させる夫。告げられた障害」**
について書こうと思います。
