【第十三話】退院のはずだった夜。激しい痙攣、大量出血、そして起こった発作

その日の19時。
「外泊」という形ではありましたが、私は夫を迎えに病院へ行きました。

久しぶりに一緒に家に帰り、いつも通りに晩ご飯を食べて、お風呂にも入りました。

夫は「腰が痛い」と言っていました。
(※のちに病室で何があったのかを知ることになります)
それでも、こうしてまた家で一緒に過ごせていることに、少し安心していたのを覚えています。

そのあと、夫はリビングのソファに座ってくつろいでいました。

すると、突然。
無言でスッと立ち上がり、階段の方へ向かって歩き出しました。

明らかに、様子がおかしい。
直感でそう感じて、私はすぐに後を追いました。

次の瞬間――。

「うぅぅーーーっ!」

唸り声のような声をあげたかと思うと、突然、体が丸太のように硬直しました。
場所は、階段のすぐそば。

このままじゃ、階段から落ちる!

そう思って、私はとっさに夫を後ろから力一杯抱きかかえました。
そして、そのまま一緒に床へと倒れ込みました。

倒れ込んだ直後。
夫の全身が、バタバタと激しく痙攣し始めました。

意識はなく、口からは泡を吹いています。
呼吸は、いびきのような異様な音を立てていました。

さらに、激しく体を動かした衝撃のせいか、
3度目の手術をしたばかりの頭の傷口から、おびただしい量の出血がありました。

私はパニックになりながらも、119番に通報しました。

痙攣は、永遠のように長く感じましたが「3分ほど」続いたと思います。

痙攣が少し落ち着いたところで、タオルで頭を強く押さえて止血しながら、急いで息子を呼び、傍についていてもらいました。

そして、もう一度救急へ連絡して状況を伝えました。
(最初の通報から、10分ほど経っていたので)

救急車が到着する頃には、夫の意識は少しだけ戻りかけているようでした。
そのまま、すぐに手術を受けた病院へ逆戻りで搬送されました。

深夜のCT検査の結果、脳内に血の塊のようなものは見られるものの、朝の検査と比べて大きな変化はないとのことでした。
「今すぐ命に関わるような状態ではない」と言われ、そのまま再び入院となりました。

翌朝、もう一度病院へ向かいました。

再度CT検査を行い、主治医の先生から説明がありました。
血の塊のようなものはわずかに大きくなっているものの、やはり命に関わるものではないとのこと。

そして、昨夜のあの恐ろしい症状については、

「てんかん発作の可能性が高いです」

と説明されました。

くも膜下出血のような大きな脳のダメージのあとには、てんかんが起こることがあること。
さらに今回は、人工頭蓋骨を入れたことで、脳に新たな刺激や圧力がかかった可能性があること。
そうした、いくつかの要因が重なった結果ではないか、とのことでした。

また、
・頭蓋骨の外側の腫れの確認
・出血の原因の特定
・てんかんを抑える薬の調整

これらをしっかり確認するため、退院は「1週間延期」となりました。

そのことをベッドの上の本人に伝えると、
「1週間だけなら我慢できるけど。それ以上は無理」と、少し不満そうに話していました。

その時はまだ、会話のキャッチボールも普通にできていて、大きな問題はないように見えました。

ですが――。

これを境に。
夫の様子は、少しずつ、でも確実に「おかしく」なっていきます。

命の危機を脱した安心感の中で、静かに忍び寄っていた本当の影。

次回は、
**「病室で気づき始めた、夫の決定的な異変」**
について書こうと思います。

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