【第五話】手術室の前で待つ時間と、3分の1の確率

翌日の早朝。
義母、息子、娘と一緒に病院へ行き、
医師から改めて、病状と手術の説明を受けました。

くも膜下出血という病気は、
発症した人の約3分の1が亡くなり、
約3分の1が重い後遺症を残し、
残りの3分の1が社会復帰できる。

そう言われている病気だということ。

手術は「開頭クリッピング術」。
頭を開いて、脳動脈瘤の根元をチタン製のクリップで挟み込む。
時間は、4時間ほどの予定だと説明されました。

夫はストレッチャーに乗せられ、手術室へ運ばれていきました。

残された私たち家族は、手術室の前で待つことになります。
椅子に座って、ただ待つだけの時間。
時計の針が、残酷なくらいゆっくりと進んでいきます。

1時間。
2時間。
3時間。

待っている間、家族でいろんな話をしていたと思います。
でも、内容はほとんど覚えていません。

ひとつだけ、はっきりと覚えているのは、
「お父さんは不死身やから絶対、大丈夫」という言葉。

最初に誰が言い出したのかは思い出せないけれど、
漠然と、でも確かに、全員がそう思っていました。

4時間。
予定の「4時間」を過ぎても、
まだ手術は終わりませんでした。

不安が少し、大きくなっていきます。
「何かあったんかな」
「大丈夫、、やんな」

私たちにできることは何もありません。
ただ息を殺して、待つしかない時間でした。

「お父さんは不死身やから絶対、大丈夫」
その言葉が、固まっていく不安を和らげてくれました。

結局、手術は予定よりもずっと長くかかり、
終わったのは8時間後でした。

あの真っ白な扉が開くのを待っていた時間は、
私のこれまでの人生の中で、もっとも長い一日だったように思います。

次回は、

**「手術が終わったあと、医師から聞いた言葉と、そのあと始まったICUでの日々」**

について書こうと思います。

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